水石入門 水石の養石

水石の養石 (08年2月11日)

昔から時代は七難隠すといわれ、日本独特の侘び寂びの世界に通じる古色を得るために先人たちがあらゆる努力をしてきたのが多くの場所で感じ取れますが、私が水石を好み、収集するようになった頃は主に関西と関東では養石の方法が異なっていました。


関西は掛け軸を主体とするため台座が主で、水盤などに入れても砂張り盆などで水をつかわないのが主体でした。そうして手のひらなどで玩び手澤といって手のひらなどの油気で古色を出したり、お寺などの線香の煙などによる時代付けが多くを占めていました。いまだに大阪などでは難波流といって、台付が多く台座に凝る人の多いことで知られています。


関東では、水盤に砂を張り平らにならし、水盤が額縁、砂を表層と見立てて鑑賞するのが概ねでした。砂は天神砂で浅草の園芸店がたくさん持ち合わせていましたが、今は現地に建物が建ち、すべて取れなくなって入手できなくなりました。東京での時代付けはお茶のタンニンを掛けたり、日陰で青みどろを付け、日で焼いたり油粕を水で腐らせ、それを石にかけての養石など、地方では石に油を塗ったり、墨で色付けしたり、早く落ち着かせるためと、売らんがためにいろいろな工夫をしましたが、所詮事前の時代にはかなわず今日に至っております。


私も何度かそのようなものを持たせられましたが、本当の時代(古色)はどの石にもある微妙な石質の違いで石全体が同じ古色ではないということが分かってきました。
ただし室内で古さの出たものは、いったん表に出すと古色が取れます。しかし時代を付けなおすと、新しい物より早く古色が付きます。


古いお客さんで生きている内に時代を感じたいといってペンキを塗った方がいましたが、これなどは論外でむしろ石を駄目にしてしまった例ではないかと思います。せめて自分で見るとき食油などで乾きを待って鑑賞していただきたい。そのまま放っておけば無理につけた時代より良くなります。

 

ほかにいろいろな方法があると思いますが、ご存知の方お知らせください。

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